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趣味・教養

切手~小さな四角の世界~

2011.11.09

国連発行「絶滅に瀕した動植物(19次)」

私たち人間と同じ地球の一部である、動物や植物。乱獲や環境破壊によって、徐々に数を減らしている種がいるのを、皆さんもご存じでしょう。地球上から絶滅してしまう種も後を絶ちません。こうした事態に警鐘を鳴らすべく、国際連合(国連)では、1993年から毎年「絶滅に瀕する動植物」切手を発行してきました。絶滅に瀕する動植物を世界中に知らしめ、地球と人間の未来をあらためて考え直すきっかけとするのが目的です。今回は、2011年9月に発行されたばかりの、第19次切手をご紹介します。

世界でも珍しい「国連切手」とは?

通常、切手を発行するのは、郵便事業を管轄する国家機関や公共事業体に限られています。しかし、今回ご紹介する切手を発行しているのは、国際平和の維持を目的に設立された国連。つまり、国や自治体ではなく国際組織です。国連切手は、国土も国民も持たない組織が発行元という、珍しい切手なのです。

その始まりは、国連設立の8年後にあたる1953年。国連とアメリカ政府(郵政省)の間に協定が結ばれ、独自の郵政業務を開始したことです。同年10月24日の「国連デー」に合わせて、ニューヨーク国連本部から初めての切手が発行されました。その後、1968年12月にスイス政府、1979年6月にはオーストリア政府との間にも同様の協定が結ばれました。

国連の活動に理解を深めるデザインテーマ採用

現在の国連切手は、アメリカ・ニューヨークの国連本部、スイスのジュネーブ事務局、オーストリアのウィーン事務局の計3ヶ所から、それぞれアメリカドル、スイスフラン、オーストリアシリング(2002年からユーロ)という3つの通貨建てで発行されています。国連切手が使えるのは、ここから発送する郵便物のみ。つまり、どこからでもこの切手で郵便を出せるわけではないのです。

国連切手は、年間の発行枚数が200万枚前後と少なく、その希少価値からも常に人気の的です。また記念切手については、販売期間が12ヶ月に限られており、もしそれ以前に売り切れてしまっても再版はないため、切手コレクターの間ではさらに珍重されることとなります。

気になるデザインはというと、世界的に大きな主題となっている諸問題をテーマにしたもの。国連切手には「世界中の人々の生活に大きな影響をもつ国連と、その他の国連諸機関の活動に理解を深めてもらう」目的があります。たとえば、人権、環境問題、絶滅の危機に瀕する生物、軍縮、核実験禁止、宇宙空間の平和利用、麻薬の取り締まりなどなど。国連が取り組む課題そのものが、デザインのテーマに取り上げられています。

さて、19回目の発行となった今回の「絶滅に瀕する動植物」切手。今年のテーマは、「鳥類」です。なかには、日本にも関わりが深い「タンチョウ」も取り上げられています。今回の切手もニューヨーク本部用、ジュネーブ、ウィーン各事務局用と3種類のデザインがあり、それぞれの違いも見どころのひとつです。図案解説とともに、地球から失われつつある美しい鳥たちの姿をじっくりご覧ください。

切手図案解説

ニューヨーク本部用(各切手とも左上から右下に向かって順に)

  • カンムリシロムク(Leucopsar rothschildi)
    英語名Bali starling(=バリのムクドリ)のとおりインドネシア・バリ島の固有種。
  • カリフォルニア・コンドル(Gymnogyps californianus)
    北米西海岸から南部の山や丘に生息。翼を広げると3メートル以上になる北米最大の鳥。
  • タンチョウ(Grus japonensis)
    身体の大部分が白い羽毛で覆われ、眼先から喉、頸部にかけて次列風切(じれつかざきり)、三列風切(さんれつかざきり)と呼ばれる羽根の下側半分が黒、羽毛のない頭頂は赤い皮膚が露出したツル。タンチョウ「丹頂」の「丹」は朱色を意味し「丹頂」は「頭頂部が赤い」ことに由来した名称。英語名はJapanese Crane(=日本のツル)だが日本(主に北海道)のほか朝鮮半島北部から中国、ロシア南東部を中心に生息し、現在世界中で約3,000羽、日本には約700羽のタンチョウが生息している。
  • カオグロナキシャクケイ(Pipile jacutinga)
    世界遺産にもなっているブラジル大西洋岸の北部からアルゼンチン、パラグアイにまでいたる南米有数の森林地帯「大西洋岸森林」に生息するナキシャクケイ属(ホウカンチョウ科)の一種。

ニューヨーク本部用
※画像をクリックすると拡大できます。

ジュネーブ事務局用

  • カカポ(Strigops habroptilus)
    ニュージーランド固有の飛べない鳥の一種で、別名「フクロウオウム」。マオリ語の名前「カカポ」も夜のオウムという意味で夜行性オウムの一種。世界で最も体重が重く、唯一飛べないオウムとして知られている。
  • ニジキジ(Lophophorus impejanus)
    標高2,500メートルから5,000メートルの高山地帯で生活するキジ科の鳥でネパールの国鳥。「虹雉」の名のとおり、オスは金属光沢のあるビロード状の豪奢な羽毛と、先端が葉の形に広がった直立する冠羽(かんう)を持つ。メスは褐色に斑模様。
  • ナベコウ(Ciconia nigra)
    英名ブラック・ストーク(黒いコウノトリ)のとおり全身が光沢のある黒色だが、腹部は白く足とくちばしは赤。アフリカ大陸南部、ユーラシア大陸の中緯度地域を繁殖地とし、冬季はアフリカ大陸中部、インド、中国南部に渡って越冬する。
  • フィリピンワシ(Pithecophaga jefferyi)
    フィリピン(サマール島、ミンダナオ島、ルソン島、レイテ島)の固有種。森林に生息し、主に哺乳類(サル、ヒヨケザル、リス)を食べることから「サルクイワシ」の別名を持つ。

ジュネーブ事務局用
※画像をクリックすると拡大できます。

ウィーン事務局用

  • アオハシインコ(Cyanoramphus novaezelandiae)
    ニュージーランドに生息する小型のインコ。マオリ語の名前「カカリキ(=小さなインコ)」で知られる、ニュージーランド固有のインコ3種のうちの一種。
  • オジロワシ(Haliaeetus albicilla)
    全長約90センチ、翼を開くと約2メートルに達する大型のワシ。全体に茶色で尾羽が白く、くちばしは黄色。ユーラシア大陸の中部および北部、グリーンランド、アイスランドで繁殖し、冬はやや南に移動する。日本には主に北部に冬鳥として渡来し、北海道で少数が繁殖する。
  • ヤシオウム(Probosciger aterrimus)
    別名「ゴリアテオウム」。ニューギニアの島、インドネシア、パプアニューギニアの熱帯雨林、およびオーストラリアの北東部クイーンズランドに生息する体長55センチから60センチの大型のインコ。
  • ミノバト(Caloenas nicobarica)
    ベンガル湾に浮かぶインド領ニコバル諸島やボルネオ、スマトラ、ニューギニアなど、東南アジアの小さな島々に分布する体長約40センチの大形のハト。「蓑(みの)バト」の名前は、首から背に生えた細く長い玉虫色の羽毛が簑をかけているように見えることから。別名「ニコバルバト」。

ウィーン事務局用
※画像をクリックすると拡大できます。

レアな切手を手に入れて「世界市民」を実感するチャンス!

いかがでしたか? 大変人気が高いうえ、販売場所も限られ、手に入れにくいとされる国連切手。ぜひこの機会にお買い求めいただき、美しい鳥たちを愛でながら国連の活動に理解を深めつつ、ご自身が「世界市民」のメンバーのひとりであることを実感なさってみてはいかがでしょうか。

  • 切手名称:絶滅に瀕した動植物(19次)
  • 商品番号:412330
  • 発行元:国際連合
  • 発行日:2011年9月7日発行

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