趣味・教養

2011.01.12
大人も子供も、みんな大好き。国も人種も越えた世界の人気者、それがぽっこりお腹のぬいぐるみ「クマのプーさん」です。今回は、アラン・アレクサンダー・ミルン原作の童話に描かれている、E.H.シェパードによる挿絵「クラシック・プー」を図案に、イギリスから「クマのプーさん」切手が発行されました。2011年の始まりは、プーさんファンならずとも夢中になりそうな、愛らしさ満点の新作切手からご紹介いたします。
「クマのプーさん」シリーズは、イギリスの作家アラン・アレクサンダー・ミルン(1882~1956)がひとり息子クリストファー・ロビンのために書いた童話と童謡。初版の発行から現在まで、世界中の言葉に翻訳され、多くの人々に愛読されています。
父親は私立学校の教師。ごく一般的なロンドンの家庭に生まれ育ったミルンは、幼い頃から作家になることを夢見ていました。自力で奨学金を勝ち取ってケンブリッジ大学へ進学、卒業後は劇作家の道を目指して随筆や戯曲などを執筆しましたが、思うように認められなかったようです。ところが、作家としての将来に不安を抱き始めていたある日、有名な風刺雑誌「パンチ」の副編集長の職を得ることになったのです。出版編集の仕事のかたわら、自らも「パンチ」のために随筆や風刺詩を書き、作家としてもようやく認められるようになっていきました。
1913年にドロシー・ド・セリンコート(ダフネ)と結婚したミルン。7年後の1920年に、待望のひとり息子、クリストファー・ロビンが生まれました。クリストファー・ロビンが3歳のときから、ミルンは彼を主人公にした童謡をいくつも作っています、これをまとめて「パンチ」の挿絵画家E.H.シェパードの挿絵とともに、童謡集「クリストファー・ロビンのうた」(1924年)として出版。瞬く間に英米で大評判となり、ベストセラーになったのです。
そして、クリストファー・ロビンが6歳のときに書かれたのが、「クマのプーさん(Winnie The Pooh)」です。クリストファー・ロビンを主人公に、彼のぬいぐるみたちとの交流を描いた物語。挿絵は再びE.H.シェパードが担当しました。舞台は、ミルン家の別荘のあるイースト・サセックス州ハートフィールドの森(アッシュダウン・フォレスト)。そこで繰り広げられるクリストファー・ロビンとプーさんたちの楽しい魔法の世界のお話は、続編の「プー横丁にたった家(The House at Pooh corner)」とともに世界中で愛され、プーさんは世界で一番有名なクマになりました。画家E.H.シェパードが何度も現地を訪ねて丹念にスケッチしたという美しいハートフィールドの森は、今も当時の面影を留め、多くの観光客が訪れる名所です。
クリストファー・ロビンが8歳になると、ミルンは子供向けの執筆をやめました。プーさんの親友として世界中からその名前を知られることになった彼の息子を、世間の好奇の目から遠ざけようとしたのです。彼が残した子供向けの本は、童謡集「クリストファー・ロビンのうた」「クマのプーさんとぼく」と、短い10編の物語からなる童話集「クマのプーさん」と「プー横丁にたった家」、この4冊だけです。
クマのプーさんが誕生するきっかけになった2冊の童謡集は、イギリスでは今も大人気で、これを聞くと子供たちが自然に踊りだすと言われているそうです。児童詩集としても、とても優れた評価を得ています。そして物語としてのプーさんは、わずか2冊だけ。しかしこれらを残したことで、A.A.ミルンの名は、挿絵を描いたシェパードとのコンビで、児童文学の歴史に長く残るものとなりました。31ヶ国語に翻訳された「クマのプーさん」は、これからもずっと読み継がれていくことでしょう。
ときにはあどけなく、そしてときにはちょっぴり思索的な表情を見せてくれる「クマのプーさん」。クラシックデザインならではの、その素朴な愛らしさとおしゃれ感は、大人も夢中になりそう。クリストファー・ロビン、そしてクマのプーさんと仲間たちがデザインされた切手たちは、ほのぼのと温かい気持ちを思い出させてくれるはずです。みなさまの愛するお子さんやお孫さんへの珍しいプレゼントとしてはもちろん、プーさんファンのお友だちへ心のこもった贈り物として、もちろん大人になってもメルヘンを忘れないご自身のコレクションとして、ぜひこの機会にお買い求めくださいね。
プー(ウィニー・ザ・プー):テディベア。蜂蜜が大好物で、詩や歌を作るのも大好き。今考えていたことをすぐに忘れてしまう。
クリストファー・ロビン1歳の誕生日に贈られたクマのぬいぐるみがモデル。「プー」という名前は、もともと別荘の池の白鳥をクリストファー・ロビンが「プー」と呼んだのがきっかけだそう(クリストファーはお気に入りのものに「プー」という名前をつけるくせがあった)。それに、クリストファーがロンドンの動物園で仲良くなったクマの名前「ウィニペグ・ザ・ベア(クマのウィニー)」を掛け合わせて、自分のテディベアを「ウィニー・ザ・プー」と呼ぶようになった。
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