趣味・教養

2009.07.08
「ムーミン・シリーズ」は、フィンランドの作家トーベ・ヤンソンが作り出した、ムーミン谷という小さなユートピアが舞台の物語。世界40カ国語に翻訳された人気を誇り、日本でも小説や絵本はもちろん、アニメ放映などでも広く親しまれています。今回は、すこし不思議な、ぬくもりのあるトーベのスケッチ(素描)原画を初めてそのデザインに採用した、可愛い切手とはがきをご紹介します。
トーベ・ヤンソンは、1914年にフィンランドのヘルシンキで生まれました。彫刻家の父と画家の母を持ち、芸術に親しみながら育ったトーベは、自らも15歳で押し絵画家としてデビュー。20歳の時、"ムーミントロール"というキャラクターを創造し、31歳でシリーズ(全9作)の執筆を開始しました。
ムーミントロールの姿が、現在私たちが見るような形になったのは、5作目「ムーミン谷の冬」から。今回の切手デザインにもなった、丸くて愛らしいムーミンは、ここで登場したのです。
1921年から1950年代の終わりまで、ヤンソン一家はフィンランドの小さな港町ペリングの、漁師グスタフソンから夏の別荘を借りていました。その家の離れにあるトイレのすきま風よけの厚紙に、今では風化し、輪郭もはっきりしないものの、鉛筆描きの大きな鼻を持つ生き物の画があり、この画こそが、現在のムーミンにつながる原型ではないかといわれています。
この画が描かれたのは、1920年代の終わり頃から30年代初めにかけて、トーベが十代のころと伝えられていますが、ムーミン発祥の地がトイレとは、何とも面白い話ですね。
押し絵画家デビューの翌年、トーベ16歳のころには、ストックホルムのエイナルおじさんの家に滞在してさらに美術の腕を磨いていましたが、お腹をすかせると、夜中に台所へ行きこっそり夜食をいただいていたそうです。ある晩、その様子を見つけたおじさんは、「レンジ台の後ろには、ムーミントロールという生き物がいるぞ」と、ちょっぴり怖いジョークを飛ばしました。その話をすっかり気に入ったトーベは、それ以来、レンジの後ろの"ムーミントロール"を想像しては、スケッチを繰り返したそうです。
そして1934年、20歳の時に、トーベは大きな鼻と目を持つ生き物が道を歩く水彩画作品、「黒いムーミントロール」を描きます。この絵の主役となった不思議な生き物が、"ムーミントロール"のデビューとなりました。
その後トーベは、スウェーデンの雑誌「ガルム」に風刺画を描きはじめます。ここでも大きな鼻と丸い体型の生き物が登場し、連載を続けるにつれ、現在のムーミンにどんどん近くなっていったのです。
トーベの豊かな才能は、画だけでなく文章でも開花しました。1945年に発表した自身の小説「小さなトロールと大きな洪水」では、挿絵とともにムーミンを初登場させ、人気を博し、1953年からは、イギリスの新聞「イヴニング・ニューズ」でコミックの連載も開始。同時に世界40カ国以上でも掲載され、ムーミントロールは世界中にファンをつかんだのです。
トーベはその生涯で、9本の小説作品発表と、途中から実弟のラルス・ヤンソンに引き継ぎつつ1975年までの新聞連載をこなしました。多くの単行本や絵本、アニメでも親しまれたムーミントロールとムーミン谷の仲間たちは、姿かたちの愛らしさだけでなく、単純なおとぎ話に終わらない登場人物たちの思索的で哲学的な発言や、時には不条理をも包括する内容で、現在でも年代を超えた多くのファンに愛されています。
今回まずご紹介するのは、シール式で6種のデザインを収めた切手です。この図案はキャラクターたちを描いたラフスケッチからとられたもので、あたたかく家族を包む「ムーミンママ」(でもここでは、ちょっと困った顔をしています)と「ムーミン」、いつも優しい「ムーミンパパ」の新聞を読む様子、シニカルな言動で隠れた人気を持つ「リトルミー」、鏡の前で前髪を整えるおしゃれな「スノークのお嬢さん」(日本では「フローレン」の名前で呼ばれる、ムーミンのガールフレンド)、ムーミンの親友である自由人「スナフキン」、そしてころびそうなムーミンパパといった6種類のイラストが並んでいます。
シンプルで味わい深く、活き活きとした表情を見せてくれるムーミンたち。黄色いポップな台紙がスケッチを際立たせて、まるでこれだけでも一冊の小さな絵本のようですね。
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続いては、ムーミン(セルフ糊)切手帳(商品番号448321と同じ)と、同じデザインのムーミン絵はがき6枚を紙製ケースに収めた、ちょっと豪華な「ムーミン切手帳・はがきセット」。価値あるスケッチ原画をデザインしているということで、ご自身のコレクションとしてだけでなく、小さなお子様やアートファンのお知り合いへ、ちょっと気の利いたプレゼントとしても喜ばれることでしょう。
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そして、ムーミン(セルフ糊)切手帳(商品番号448321と同じ)の切手6枚を貼付し、発行日の消印を押した封筒は、その消印デサインもコミカルなムーミンの後姿というこだわりよう。ちなみに封筒表面に印刷された「FDC」とは、新作切手発行の際、その切手を封筒に貼り、発行当日の日付印(消印)を押してもらったもので、英語の「First Day Cover」(ファースト・デイ・カバー)の略称。切手コレクションの世界では、大変人気の高い品です。
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