趣味・教養

2011.10.26
今年2011年は、人類初の宇宙飛行から50年。またアメリカのスペースシャトルが、長きにわたる任務を終えて引退した年でもあります。さらに、9月には「素粒子ニュートリノが光よりも速く進む」という実験結果が話題に。アインシュタインの確立した物理学の常識が覆れば、宇宙研究にも革新がもたらされるかもしれません。人類の宇宙開発の節目といえる今年、いま一度、宇宙開発の歴史を題材に発行された美しい切手たちを振り返ってみましょう。
人類が初めて有人宇宙飛行に成功したのは、今を去ること50年前。1961年4月12日に、ロシア(当時はソヴィエト連邦)が打ち上げた「ヴォストーク1号」です。乗船していたのは人類初の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリン。ソ連空軍のパイロットだった彼は、選抜されて宇宙に旅立ったのです。帰還してすぐの会見でガガーリンは、宇宙船の窓から見えた地球について「地球は青かった」と語り、話題になりました。
宇宙開発時代の幕開けは、「ヴォストーク1号」の打ち上げから数年さかのぼります。1957年10月4日、ソ連は「スプートニク1号」搭載のロケットを、地球周回軌道に乗せることに成功。その1ヵ月後の11月3日には、1匹の犬を乗せた「スプートニク2号」を打ち上げ、初めて生物を宇宙へ旅立たせました。このとき乗船していた雌犬「ライカ(クドリャフカ)」の名は、宇宙開発の影の英雄としてご存じの方も多いでしょう。
1960年には2匹の犬とラットを乗せた「スプートニク5号」が、地球へ無事帰還。一気に有人宇宙飛行への夢が現実のものとなります。
その後ソ連は、「ヴォストーク3号」「ヴォストーク4号」の同時打ち上げと2人同時宇宙飛行にも成功。「ヴォストーク6号」では女性初となるワレンチナ・テレシコワの宇宙飛行を成功させるなど、史上初の快挙を次々と達成しました。戦後、アメリカとの間で繰り広げられていた宇宙開発競争を、ソ連が一歩リードしたのです。
一方のアメリカでも、1969年7月20日に、「アポロ11号」の船長ニール・アームストロングが、人類初の月面着陸の偉業に成功。アームストロング船長と、彼をサポートしたオルドリン、コリンズ両飛行士の名は、宇宙開発の歴史にしっかり刻まれました。「これは一人の人間には小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」とアームストロング船長が語った言葉は、あまりにも有名です。
しかし、次第に世界各国から宇宙開発への参画が増えたこと、費用が膨大であることなどを理由に、時流は競争ではなく共同開発へと変化。1975年7月17日にはソ連の「ソユーズ19号」とアメリカの「アポロ18号」がドッキングを果たし、熾烈だった開発競争は終わりを告げたのです。
1981年4月12日には、宇宙との往復や機体の再利用を可能にしたスペースシャトルが、初飛行ミッション「STS-1」に成功。その後は、国の垣根を超える一大プロジェクト「国際宇宙ステーション」の建設と運用を主な目的に、人員や資材を運び続けました。そのスペースシャトルも、2011年7月8日の「STS-135」つまり、通算135回のミッションをすべて終え、引退しました。
今後しばらくは、ロシアのソユーズが、地球と国際宇宙ステーションを結ぶ唯一の手段です。しかしながら、日本の「宇宙ステーション補給機 こうのとり(HTV)」をはじめ、各国で多目的宇宙船の開発に取り組んでおり、一日も早い実用化が望まれるところです。
幾多の困難を乗り越え、人知を重ねて、着実に進歩を続けてきた人類と宇宙開発の歴史。その足跡を代表する光景は、何度も切手デザインとして採用されています。
今回ご紹介する切手は、1992年5月7日に初飛行、2011年6月1日に最後の飛行を終えたスペースシャトル「エンデバー号」の、打ち上げ風景です。約20年におよぶ歴史の中で25回も宇宙に飛び立ち、1992年9月12日に行われた2回目の飛行では日本人初の宇宙飛行士、毛利衛氏が乗り込んだことで、ご記憶の方もいらっしゃることでしょう。その後、若田光一、土井隆雄両飛行士も搭乗。日本人にはなじみ深い一機でもあります。ちなみに「エンデバー」の名前は、18世紀の英国人探検家ジェームズ・クックが、最初の南太平洋航海に使用した船の名前に由来しています。
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続いてご覧いただくのは、1969年7月20日の人類初の月面着陸から20周年を記念して発行された「月面着陸20年」切手。アポロ11号の乗員であり、人類として初めて月面を踏みしめたアームストロング船長に続いて月面へと降り立ったのは、オルドリン飛行士。地球の6分の1の重力という月面における二人の船外活動の様子は、生中継により全世界へと配信されました。このときには、世界中で実に5億人以上の人々がテレビ画面にくぎ付けになったといわれ、日本でも、最大68.3%の視聴率を記録しています。
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さて、みなさまは、宇宙に浮かぶ望遠鏡の存在をご存じでしょうか。
「ハッブル宇宙望遠鏡」は、1990年にスペースシャトル「ディスカバリー号」が地球周回軌道に運んだ光学望遠鏡です。長さ13.1メートル、重さ11トン、主鏡の直径2.4メートルという大きさで、その堂々たる姿はまさに「巨大な宇宙天文台」。とはいえ打ち上げ当初は、部品の取り付け不具合により、期待された性能の5%程度しか稼動できていませんでした。この問題を解決するために活躍したのが、スペースシャトルのクルーたち。担当者は通常の訓練よりも400時間あまり多く専門の訓練を受け、数回にわたって修理や改良を施したそう。その努力の結果、想像をはるかに超える宇宙の鮮明な画像が得られるようになり、数々の大発見を成し遂げたのです。
切手は、「ハッブル宇宙望遠鏡」の打ち上げ10周年を記念して発行されたもので、デザインに使用された画像はすべてハッブル望遠鏡が撮影。左から「楕円銀河NGC1316」「わし星雲」「リング星雲」「ラグーン星雲」「エッグ星雲」となっています。芸術的ともいえる美しい写真は、いつまで見ていても飽きないほど。ぜひこの機会に、みなさまのコレクションに加えてひととき宇宙の神秘に酔いしれるとともに、お子さんやお孫さんたちと、未来の宇宙への夢を語り合ってみてはいかがでしょうか。
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