趣味・教養

2010.07.28
1996年から、国民の祝日として新たに制定された「海の日」。制定当初は7月20日でしたが、祝日法の改正により2003年から7月第3月曜日となりました。「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことを趣旨とする「海の日」にちなみ、海が見える景勝地、海のリゾート、海の生物、海を詠んだ愛唱歌など、"海"をテーマに発行された切手の中から、印象的なデザインのものをいくつか紹介します。
四方を海に囲まれている日本。ふだんから何気なくその恩恵を受け取っている私たちですが、心の中では誰もが海に対して特別な想いを持っているのではないでしょうか。日本最古の歌集である『万葉集』にも、潮、白波、海辺、磯など海の情景を詠んだ歌がたくさんあります。古来、日本は海と深く関わりを持ちながら発展してきた"海文化の国"なのです。
国土交通省の文書などによると、世界の国々の中で「海の日」を国民の祝日としている国は唯一日本だけだそう。切手デザインにも、海を敬い愛する日本ならではの"海のある風景"が数多く採用されています。
1996年7月19日、「海の日」が正式に日本の祝日になったのを記念して、「海の日記念」切手が2種発行されました。50円切手の図案は、1995年に公募した中から最優秀賞に選ばれた作品で、折り紙の帆船をデザインしたものです。光の3原色である赤・青・緑に、太陽の光を象徴する黄色を使用。背景一面には、雅楽の舞人の衣装にも使われるクラシカルな青海波(せいがいは)文様を描いています。古きと新しきを見事に融合させたデザインには、「海を大切にしよう」というメッセージが込められています。
80円切手は、現役を終え、文化財として横浜港で保存展示されている「日本丸」。全29枚の帆をすべて広げた総帆展帆(そうはんてんぱん)と呼ばれる姿で、大海原を帆走するところを再現しています。"太平洋の白鳥"と言われた優雅な美しさをお楽しみください。
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断崖絶壁が延々と続く「北山崎」は、陸中海岸を代表するリアス式海岸の景勝地。「海のアルプス」と呼ばれ、圧倒的な美しさと、厳しい自然環境が共存する場所としても有名です。海抜約200mの断崖が、全長8kmに渡って豪快に連なるさまは、息をのむほどの迫力。断崖の頂上にある展望台から波打ち際までは、718段の遊歩道を使って降りることもできます。下から見上げる断崖もまた雄大で、一度見たら忘れられない情景です。
そんな「陸中海岸・北山崎」がデザインされたのは、1992年発行のふるさと切手岩手版。海の青さに、波打ち際の激しさを感じさせる波頭の白さが際立つ一枚です。
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福井県敦賀湾に面する「気比松原(けひのまつばら)」は、静岡県「三保の松原」、佐賀県「虹の松原」とともに、日本三大松原として知られる景勝地。平均樹齢200年という松の巨木が、約1万2千本も立ち並ぶ勇壮な景観の浜です。
古くは西行法師や松尾芭蕉、志賀直哉や有島武郎など数多くの文人墨客がこの地を訪れ、その作品の中に「気比松原」を登場させています。多くの人々を感動させてきた、壮大な松並木と穏やかな駿河の海のコントラスト。この風景を切手デザインに採用したのが、1994年のふるさと切手福井版「気比松原」です。凛とした自然の風景の中、赤と白の服をまとった小さな人物が画にスパイスを添えるとともに、スケール感を表しています。
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ズワイガニのうち、越前沖で育った雄ガニだけが「越前ガニ」と呼ばれます。水深40~200m、成育環境の良い水温5度以下の砂泥底で8~10年もかけて成長するため、他の場所で捕れるカニとはひと味もふた味も違うと、食通たちに珍重されています。
その「越前ガニ」が水揚げされる福井県三国港のそばで、誰もが知る奇勝といえば、「東尋坊」。ここを含めて世界に3か所しかないといわれる奇岩「輝石安山岩の柱状節理」は、国の天然記念物です。越前が誇るこれら名物と名所を一挙紹介したのが、ふるさと切手福井版「東尋坊と越前ガニ」です。
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海沿いに美しい景勝が広がる、和歌山市の南西部。「和歌浦(わかのうら)」と呼ばれるこの一帯は、古くは『万葉集』にも詠まれ、西部の雑賀崎周辺は現在も瀬戸内海国立公園の特別地域に指定されています。夏には、環境省選定の「快水浴場」特選に選ばれた片男波海水浴場をはじめとする数々のビーチが賑わいを増し、現代の一大リゾート地です。 その火付け役となったのが、1994年の地方博「世界リゾート博」に合わせて建設された「和歌山マリーナシティ」。テーマパーク「ポルトヨーロッパ」、マリーナやヨットハーバーほか、海を堪能できるリゾート施設がいっぱいです。切手でも、和歌山マリーナシティを背景に、若者が楽しげにヨットを操る様子が明るいタッチでデザインされています。
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水中に浮かぶ真っ赤な鳥居が印象的な、国内有数の観光地といえば、安芸の宮島にある「厳島神社」。創建は推古元年(593年)までさかのぼりますが、平安時代に平清盛が社殿の造営を行い、現在の形を築いたといわれています。日本全国に約500社ある厳島神社の総本社として敬われる土地であると同時に、松島、天橋立とならぶ日本三景でもあります。
この宮島への参拝航路として、平清盛が掘削したと伝えられるのが「音戸の瀬戸」と呼ばれる海峡。現在は呉市と倉橋島の間に真紅のアーチ橋「音戸大橋」がかかり、海の青と木々の緑の中で素晴らしい景観を作り出しています。呉市側の高台に位置する音戸の瀬戸公園は、音戸の瀬戸を見下ろす絶好のビューポイント。日本の歴史を海から見つめ続けた名所も、1998年に切手デザインに採用されています。
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青い海にぽっかりと浮かぶ緑の島々。愛媛県は今治市から望む「来島海峡」です。兵庫県の「鳴門海峡」、福岡県の「関門海峡」とともに日本三大急潮として知られています。瀬戸内海を象徴する景勝地ですが、4つに分かれた潮の流れは複雑で、流速は10ノットにも達することがあるとか。春にはたびたび濃霧の発生し、船の運航が難しい"海の難所"でもあります。そんななか、外国船も含めて大小さまざまな船舶が、1日約1,200隻も航行しているのだそうです。
船には苦労の多い海峡ですが、その複雑な地形と急流から、鯛をはじめとする瀬戸内の魚の成育環境としては抜群です。今治を中心に、四季折々採れたての新鮮な海の幸を味わえることから、愛媛でも人気の高い地域です。
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愛媛県の最南端、南宇和郡愛南町は海と山の豊かな自然に囲まれた町。西海地区の沖合いは、美しい熱帯魚やサンゴ礁に出会えるダイビングスポットとして有名です。ひとたび海に潜れば、海のお花畑と例えられるほど美しく幻想的な世界。サンゴの森を漂う色鮮やかな熱帯魚たちの姿は、まるで南の島に来たようだと、ダイバーたちも夢中だとか。
そんな海の中を、ダイビングの装備なしでも気軽に散策できるのが、「西海海中公園」から乗船できる半潜水型の水中展望船。座席に腰掛けたままで、海中の様子を楽しむことができ、ファミリーにも人気の観光スポットです。パラダイスを思わせる海中と水中展望船をデザインした一枚は、私たちがまるで魚になったように、サンゴの間から明るい海や船を見上げる、珍しい構図になっています。
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高知県南西部土佐清水市にある「足摺岬」は、太平洋に突き出る足摺半島先端に位置する岬。一帯は「足摺宇和海国立公園」に指定され、散策路を覆う椿のトンネルや、生い茂る亜熱帯植物も見られる温暖な気候の地です。また、地元土佐清水漁港は、黒潮で育ったカツオなど新鮮な地魚が数多く水揚げされることから、海の景勝とグルメを楽しみに訪れる観光客が後を絶ちません。
切手にデザインされているのは、足摺の断崖に建つ足摺岬灯台。黒潮に洗われて荒々しい姿をさらす断崖絶壁に、ポツンとたたずむ白亜の灯台がどこか懐かしく、旅情をかきたてる1枚です。
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水族館の人気ランキングでは、常にベスト3にランクインする「沖縄美ら海(ちゅらうみ)水族館」。水族館のシンボルでもあるジンベイザメが悠然と泳ぐ水量7,500m³の世界最大級の水槽「黒潮の海」ほか、77槽もの展示水槽に、世界中の貴重な海の生物が飼育されています。
一方、沖縄本島北部の「やんばる」地域は、山や森林など原始の自然が多く残るエリア。ヤンバルクイナをはじめ、ここでしか確認されない固有生物が生息しています。美ら海もやんばるも、沖縄の大切な自然の一部。切手のデザインにもなった美しい風景を、いつまでも残したいものですね。
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日本人が愛する海は、写真や絵画だけでなく、ときには文学に、そして音楽にもその情景が表現されています。小さいころ、誰もが一度は口ずさんだ童謡「うみ」もその一つ。「うみはひろいな おおきいな」で始まる端的な歌詞の中には、海へのあこがれや旅情が込められ、子どもたちにずっと語り継ぎたい名曲です。
こちらの切手は、1979年~1981年に発行された「日本の歌シリーズ切手」の一つで、1980年発行の第5集に収められました。原画は、素朴な画風で時代を超えてファンの多い谷内六郎です。
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1997年3~5月に実施された「わたしの愛唱歌切手アンケート」の結果と、音楽関連の有識者の意見により選定された愛唱歌切手にも、海の歌がテーマの1枚があります。それは、文部省唱歌「われは海の子」。
原画を担当したのは、児童文学の挿絵を中心に800本以上もの作品を担当したイラストレーターで画家の村上勉。浅黒く日焼けした少年が、自分の捕えた魚をぶら下げ、ちょっと自慢げに立つイラストが、ユーモラスでかわいらしいですね。「われは海の子」の楽譜もデザインの一部となっており、コレクター心をそそられる1枚になっています。
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