趣味・教養

2009.08.26
8月31日は、「イングランドのバラ」と世に慕われた、ダイアナ元英皇太子妃が不慮の事故で亡くなった命日にあたります。1997年8月31日、フランスの首都パリで激しいパパラッチの追跡を受け、乗車していたハイヤーがトンネル内で事故を起こし、36歳という若さでその短い生涯を終えたダイアナ元妃。亡くなった当初から没後10年を区切りに発行された切手まで、一人の女性の追悼切手としては世界にも類を見ないほど多く取り上げられました。今回はその中から、代表的な数点をご紹介します。
1961年7月1日、オールトラップ子爵(のちに伯爵)エドワード・スペンサーと夫人フランセスの間に誕生した3女。それが後の英皇太子妃、ダイアナ・スペンサーです。イギリスとスイスの寄宿学校で学生生活を送ったのち、保育士として働き始めたダイアナでしたが、貴族の慣習として社交界にもデビュー。ここで将来の夫となるチャールズ皇太子に出会い、交際を深めてゆきます。
そして1981年、ついに二人の結婚が発表されると、少女の面影が残るダイアナのはにかんだような笑顔と、「保育士」という身近な職業から、彼女は一躍世界中の人気者となりました。その年の7月29日ロンドンのセントポール大聖堂でとりおこなわれた結婚式は、イギリス国内だけでなく各国で生中継され、約7.6mもあるトレーン(引き裾)を持つドレスを身につけたその姿に「これこそロイヤルウェディング」と、憧れる女性も多かったといいます。
「プリンセス・オブ・ウェールズ」となったダイアナは、その後、ウィリアム王子とヘンリー王子という二人の子どもに恵まれたものの、彼女自身が好んだ現代風の生活とは相反する、伝統と格式を重んじる英王室にギャップを感じるようになりました。加えて、チャールズ皇太子の女性関係などに深く悩み、二人の間には次第に溝ができてゆくのです。
こうして、全世界から祝福された結婚も、1996年8月28日の正式離婚で終わりを告げます。その後ダイアナは、対人地雷廃止運動やエイズ啓発活動などを積極的にサポートしはじめました。危険を顧みず地雷源に足を踏み入れ視察する様子なども、たびたび大きく報道されています。
そして、運命の1997年8月31日。当時、恋人と言われていたエジプト系イギリス人の大富豪、ドディ・アルファイド氏とともに乗り込んだパリのリッツ・ホテルのハイヤーが、パリ市内のトンネル内で交通事故を起こし急逝。そのショッキングなニュースは瞬く間に世界中を駆け巡りました。
もちろんすでに王室を離れていたものの、ダイアナの死をいたむ声の高まりに、彼女を国葬に準じる「国民葬」として送ることとなり、葬儀の当日はエリザベス女王も沿道から棺に一礼したそうです。存命中、「人々のプリンセスでありたい」と語ったダイアナ妃は、その願いどおり、今でも人々の心の中に生き、敬慕の念を集める存在であり続けています。
1981年、チャールズ皇太子とダイアナ妃の結婚を1週間後に控え、イギリス本国から成婚の記念切手が発行されました。図案では、チャールズの胸にダイアナが寄り添う写真が使用されていますが、実際には当時2人にこれほどの身長差はなかったということです。
当時のダイアナの身長は175cmあまりの長身で、皇太子はそのわずか上だったそう。このためダイアナがハイヒールを履くと、身長差が逆転してしまう状態でした。そこで王室写真師のスノードン卿は、皇太子を踏み台に乗せてこのような構図をつくり、撮影を行なったというエピソードが残っています。
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1986年5月、夫のチャールズ皇太子とともに来日した際のダイアナブームをご記憶の方も多いと思いますが、その類まれな美貌と飾らない人柄が世界中で愛されたダイアナ妃は、皇太子妃時代には精力的に各国を公式訪問しています。1998年にイギリスから発行された追悼切手には、これら公式訪問のベストショットがデザインされました。また離婚後、息子であるウィリアムの「ママは洋服をたくさん持っているのだから、チャリティーに寄付したら?」という助言に従い、自身のドレスをチャリティー・オークションにかけた際のカタログ用写真も同時に採用。切手を眺めるだけで、いつでもたくさんの美しいダイアナ妃に再会できるのはうれしいことですね。
王室の女性が公式行事の際に身につける装飾品の代表格といえば、「ティアラ」です。その一つひとつに長い歴史を持つティアラですが、今回の切手デザインに採用されているもののうち右の2点は、1913年につくられたもの。エリザベス女王の祖母メアリー王太后からエリザベス女王、そしてダイアナ妃へと引き継がれました。実はティアラはかなりの重さがあり、つけているだけで頭痛がするほどだといいます。ダイアナ妃の死後は王室の金庫に保管されているそうですが、今度このティアラを身につける女性は誰なのか、興味深い一品です。なお発行国のモントセラトは、カリブ海に浮かぶイギリス領の島です。
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同じくモントセラトから発行された、ダイアナ妃没後10年の小型シートですが、こちらはシックなモノトーンで、知的な表情でほほ笑むダイアナ妃の写真をデザインしたもの。写真の横には、生前の彼女の功績をたたえるコメントが添えられています。イギリスだけでなく全世界の近代王室史において最も愛されたといっても過言ではないダイアナ。プリンセス・オブ・ウェールズ同時代に生きた証として、切手をみなさまのお手元に残されてはいかがでしょう。
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