健康・美容

2008.06.02
「フィトケミカル」という言葉を聞いたことがありますか?
ポリフェノールやフラボノイド、リコピン、イソフラボンなど、最近話題になっている健康に良い成分は、このフィトケミカルの仲間なのです。
フィトケミカルとは、植物が自らを守るために生み出した成分。
自然から生まれた不思議なパワーを味方につけて、健康な体をキープしましょう!
植物は、動物のように自分で移動する手段をもっていません。有害な紫外線や害虫から逃げ出すことができない植物は、自分の身を守るために長い時間をかけてさまざまな成分をつくり出してきました。例えば、ブドウの皮に含まれる紫の色素「ポリフェノール」は、紫外線から身を守るために光合成して生み出されたものですし、ニンニクや玉ネギの刺激臭や辛味成分「硫化アリル」も、害虫に食べられないようにする自衛策のひとつなのです。
植物が生み出したこれらの化学物質は「フィトケミカル(またはファイトケミカル)」と呼ばれています。フィトケミカルは私たちが食べている野菜や果物にもたくさん含まれていて、そのほとんどは色や辛味、香り、アクの成分です。
今、フィトケミカルが注目されている理由は、人間の体に取り込まれてもそのパワーを発揮することが分かったから。そのいちばん大きな働きは、細胞の酸化を防ぐ抗酸化作用です。酸化の原因となる活性酸素は、老化を早め、がんや生活習慣病の要因にもなるといわれています。強力な抗酸化力をもったフィトケミカルは、私たちの健康を守るために欠かせないものなのです。
フィトケミカルのほとんどは、活性酸素から私たちの体を守ってくれる抗酸化力をもっています。
活性酸素とは、強い酸化力をもった酸素分子のこと。他の分子と結びつき、物質を酸化させやすい特徴があります。体内に侵入したウィルスや有害物質を破壊するなど体を守る働きする良い面もあるのですが、過剰に発生すると正常な細胞やDNAを傷つけてがんなどの病気や老化の原因ともなるのです。
ところが体内にフィトケミカルがあると、細胞の身代わりとなって活性酸素と結びついてくれます。そしてフィトケミカル自身が酸化することにより、私たちの細胞がサビないように守ってくれるのです。
フィトケミカルの中には、がんを予防する効果があるものが600種類以上あるといわれています。例えば、肝臓ではある酵素群が発がん物質の解毒を行っていますが、ブロッコリーなどに含まれる「スルフォラファン」は、この酵素群の働きを高めることが明らかになっています。
肝臓は体内にたまった毒素を分解して、尿や胆汁として排出してくれるリサイクル工場です。ところが大量のアルコールなど肝臓の解毒能力を超えた毒素にさらされたり、アミノ酸やビタミン、ミネラルなど解毒作用を助ける栄養素が不足すると、その働きが低下し、体の免疫力が弱まってしまうことも。
そんなとき、活躍してくれるのがフィトケミカル。例えば、ハーブ類に多く含まれるフラボノイド系のフィトケミカルは、肝臓において毒素を排出する役割をもつ酵素を活性化する効果があります。また、ブロッコリーやキャベツなどアブラナ科の野菜にも、肝臓の解毒作用を助けるフィトケミカルがたくさん含まれています。
生命維持に欠かせない栄養素や酸素を運び、不要な老廃物などを回収してくれる血液。その流れが滞り、栄養をうまく運べなくなると、さまざまな体の不調や病気につながり、老化を早めます。
フィトケミカルは、ドロドロ血液の原因となる活性酸素やコレステロールを抑制して、血液の流れをスムーズにする手助けをしてくれます。その代表ともいえるのが、玉ネギに含まれる「ケルセチン」です。ケセルチンは悪玉コレステロールの酸化を抑制して、動脈硬化を防ぐほか、血液を固める作用のある血小板の凝集を抑えて、血栓症を防ぐ働きもあります。
植物の色素や苦み成分に多く含まれていて、強力な抗酸化力をもつ。ゴボウやレンコンなどのアクにも含まれているため、アク抜きをするときは、水にさらす時間を少なめに。
アントシアニン
抗酸化作用のほか、疲れ目の改善や肝機能の向上にも効果がある。
多く含む食品
ブドウ、ブルーベリー、ナス、赤キャベツ
イソフラボン
女性ホルモンに似た働きをもち、更年期の症状の抑制、骨粗しょう症の予防に効果がある。
多く含む食品
大豆
カテキン
抗酸化作用、特に脂質の酸化を防ぐ力が強い。殺菌効果があるため食中毒の予防にもおすすめ。
多く含む食品
日本茶、紅茶、ココア
ケルセチン
悪玉コレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化を抑制する効果がある。また、のどや気管支炎の炎症を抑える作用をもつ。
多く含む食品
玉ネギ、リンゴ、柑橘類
緑黄色野菜をはじめ、柿などの果物、ワカメなどの海藻類に豊富な赤、橙、黄色の色素成分。脂溶性のため、油を使って調理すると吸収率が高まる。
ルテイン
強い抗酸化作用があり、特に視力が低下する「加齢性黄斑変性」を防ぐ。また、がんの予防効果も。
多く含む食品
ホウレン草、芽キャベツ、ブロッコリー
リコピン
紫外線の害から肌や目を守る働きがある。また、強力な抗酸化作用により、がん細胞の成長を抑える働きが報告されている。
多く含む食品
トマト、スイカ
β‐カロテン
体内でも最も効率よくビタンミンAに変わり、目や皮膚の健康を守る役目をする。また抗酸化作用をもち、がんや生活習慣病の予防にも効果が。
多く含む食品
ニンジン、カボチャ、ホウレン草、ピーマン
クロロフィル
コレステロールを減少させる働きや、抗酸化作用などの働きがある。血栓を防ぐ働きやがんの予防、貧血の予防・改善などの効果も。
多く含む食品
ホウレン草、小松菜、カイワレ
硫化アリル
強い抗酸化力をもち、がんや動脈硬化、血栓などを予防する働きがある。またビタミンB1の吸収を助けて、疲労回復を促す。
多く含む食品
ニンニク、玉ネギ、ネギ、ニラ
スルフォラファン
肝臓の解毒酵素の働きを活発にする作用と活性酸素による害を抑える作用がある。また、胃潰瘍や胃がん予防や、紫外線から目を守る働きも。
多く含む食品
ブロッコリー、カリフラワー、カブ
フィトケミカルは、摂取量が少ないからといってエネルギー不足になったり、すぐに病気を引き起こすことはありません。しかし、長期間の摂取不足は体調に深刻な影響をもたらすことも。健康維持のためにも、毎日こまめに野菜を摂る習慣をつけたいですね。
これからの季節に多く出回るトマト、カボチャ、ブロッコリーなど、夏野菜を使った簡単なレシピをご紹介しますので、食卓に野菜が足りないと思ったら、さっそく一品プラスしてください。
含有成分:リコピン、β-カロテン、ビタミンC
真っ赤な色素リコピンが肌にとどまり、シミのもとであるメラニンをできにくくするなど美肌効果抜群!
悪玉コレステロールの酸化を防ぐ働きも。

含有成分:β-カロテン、ルテイン、ビタミンC
カロテノイドの中でも抗酸化力の非常に強いルテインを多く含有。
体の細胞を活性酸素から守り、がんにかかるリスクを減らしてくれる。

含有成分:スルフォラファン、フラボノイド、カロテノイド、ケルセチン
スルフォラファンなどの硫黄化合物が肝臓の解毒酵素を活性化。
抗酸化力が強いケルセチンやカリウムの働きで動脈硬化を防ぐ効果も!

「ものを見るときに視野の中央が暗く見える、新聞を読むときに枠線がゆがんで見える、ということはありませんか? 「歳をとると目が悪くなるからしょうがない」なんて放っておくと危険です。もしかしたら、その症状は「加齢性黄斑変性症」かもしれません。
「加齢性黄斑変性症」とは、網膜の異常により視覚障害が起きる病気。進行すると失明に至ることもあります。アメリカでは「加齢性黄斑変性症」が中途失明原因の1位になっており、日本でも急速に患者が増加していて、50歳以上の0.8%がかかると言われています。この病気は、加齢やストレス、太陽光などによって生じた活性酸素が、網膜にある黄斑部の細胞を破壊するために起こります。現在、決め手となる治療法や特効薬はありませんが、活性酸素の発生を抑えること、また抗酸化作用を強くすることが有効な対処法と言えます。
そこで注目されているのが、カロテノイドの一種であるフィトケミカル「ルテイン」。人間の目は光の中でもエネルギーの高い青色光に侵されやすいのですが、ルテインは黄班部に存在し、青色光を吸収してくれるのです。実際に、ルテインが不足すると、黄班変性症にかかるリスクが高まることが報告されています。
ルテインはストレスや加齢により減少しますが、体内でつくることができないため、食物から摂取する必要があります。ルテインは緑黄色野菜に多く含まれているのですが、特に豊富なのは青汁の原料となるケール。その量は、なんとホウレン草の2倍! 外食が多くてなかなか野菜を摂れないという人は、毎朝1 杯の青汁を習慣にしてみてはいかがですか?