食・グルメ

2009.04.13
いまや国民食として親しまれるようになったラーメン。その最大の魅力と言えば、手ごろな価格で確かな味わい、そして満足感を得られるという点にあるだろう。しかし、そんな庶民派感覚で親しまれてきたラーメン業界にも、新たな風が吹き始めている。
ラーメン界の新風、それは一杯が数千円~1万円もするという、「高級ラーメン」の台頭だ。この価格、普通のラーメンの価格と比べると、「ラーメンなのにこの値段!?」と驚く方も多いだろう。もちろん、こういった価格を提示するからには、店側にもそれなりの理由と考えがある。ラーメンには厳選された食材を使い、食する場として上質な空間を演出し、徹底したサービスのもとに提供する。つまり、ラーメンという料理を「価値の高い食事」として扱っているのだ。
たとえばある店では、ラーメン一杯だけを提供するのではなく、ラーメンにサラダ、グリル料理、デザート、ドリンクなどを加え、コース仕立てにして提供するという形をとっていた。他方、同じ高級路線でも、こだわりぬいた材料を使い、まるで宮廷料理のような美しさと、絶品の味を楽しむ一杯一万円の超高級ラーメンを提供する店もある。こちらは完全予約制で、現在は会員の紹介がなければ入店することができないなど、その人気は高い。
サービス、店の雰囲気、そして特別な食材とその絶妙な味。「ラーメンを食べに行く」という行為に加わったその付加価値を考えれば、高級と思える価格にも十分理由があると納得することができるだろう。たかがラーメン、されどラーメン。「ラーメン通」と看板を掲げるならば、一度はこんな高級ラーメンに挑戦してみるのもいいだろう。
また、ひとくちにラーメン通と言っても、外で食べるだけが能ではない。いまや世の至るところでインスタントラーメン、カップラーメンが売られている。もちろん、これを読んでいるあなたも、昔からひいきにしているお気に入り銘柄があるだろう。
これらインスタントラーメンやカップラーメンの市場でも、本格的な調味料を使ったものや、具材の多さをアピールしたもの、有名店の監修付きを売りにしたものなど、高級派のカップラーメンは続々登場し、市民権を得つつあるのだ。その品質は年々目を見張るほどに上昇してきている。
また、昨今のヘルシーブームに合わせた低カロリーなラーメンや、 "ラーメンをお湯ではなくホットミルクで作ると美味しい"という噂から生まれた企画商品の登場にも注目したい。定番の味から挑戦的なものまで、「ラーメン」はその裾野を着々と広げているのだ。
高級化をはじめ、今までにはない様々な「変わり種」が登場してきた昨今のラーメン界。これらの「進化形ラーメン」が登場し、そして受け入れられているのは、とりもなおさず「ラーメン」という文化が十分に成熟したことの証拠だと言ってもいいだろう。
食の選択肢として、ラーメンはもはや多くの人にとってすでに当たり前のことになった。さらに、よりよい味、新鮮味を求めることが結果、「今までになかった新しいラーメン」を生み出す土壌につながっていっているのである。
だが、業態や味わいも迷ってしまうほど用意され尽くし、選択肢が増えていけば、自分に本当に合ったラーメンを見つけるのには時間がかかるかもしれない。
しかしそれでも、この選択肢の広がりは、新たなラーメン界の発展につながるものだ。新しいもの好きの日本人だからこそ、未知なるラーメンに対して冒険心を持って楽しむことができる。
お洒落に装って高級ラーメンを食べるもよし、いつもの味を楽しみに、年季の入ったのれんをくぐるもよし。そのときどきの気分に合わせて、楽しみながらラーメンを選ぶ時代が来たのだ。多様化した"ラーメン文化"は、まさに今が春、花開いていると言えるだろう。