年金・保険・法律

2010.08.26
温泉は冬に限ると思われている方が多いのですが、夏の温泉もなかなかよいものです。8月の初め、福岡県の原鶴温泉にゆきました。筑後川のほとりの和モダンの宿は、源泉かけ流し(垂れ流しではありません)。ここのお湯は、優しく、実に穏やかに、染み渡るように包んでくれました。その心地よさの秘訣は湯の温度。湯守の女性が、「夏は38度が、冬はもっと熱いのが心地よいのですよ。ほんのわずかなバルブの開き具合の違いで、すぐ熱くなってしまうので・・・」と、何度も何度も温度を計っては、調整しておられました。川を渡ってさわさわと吹いてくる涼しい風に吹かれながら、妥協しない丁寧な仕事が作り出す心地よさを満喫しました。
今回は、出産を間近に控えた、会社員の女性からのご相談です。出産・育児に際しては、厚生年金や健康保険の保険料等についての支援措置をはじめ、出産手当金や出産育児一時金の支給、労働条件の緩和措置があります。せっかく用意されている次世代育成のための支援策です。内容を知って賢く活用してください。
相談者:B子さん
A1:出産前後や育児期間については、母体保護や育児支援の観点から、休業や労働時間の短縮等、労働条件を緩和するためのサポート(下図●)があります。また出産手当金や出産育児一時金、育児休業給付金等の支給(下図▲)が健康保険や雇用保険から行われます。さらに育児期間中については、厚生年金や健康保険の保険料についての特別措置(下図◆)があります。妊娠から職場復帰までを時系列で整理してみましょう。

A2:出産手当金は、出産で仕事を休んだため、給料が受けられない産休の間の生活をサポートするために、健康保険から支給されるお金です。受給できる金額は、標準報酬日額×2/3×産休の日数分です。
ところで産休というのは、労働基準法で定められている産前・産後の休業期間のことです。産前は、原則として出産予定日以前42日ですが、実際の出産が予定日より遅れた場合は、実際に出産した日までの期間も支給されます。たとえば、実際の出産が予定より5日遅れたという場合は、その5日分についても出産手当金が支給されます。また、多胎妊娠の場合は出産予定日以前98日となります。
産後は、出産の日の翌日以後56日間が支給対象です。
ただし、勤務先から産休の間も給料が支給され、その額が出産手当金の額より多い場合は、出産手当金は支給されません。
A3:出産をしたとき、胎児数に応じて支給されるものです。給付金額は、全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の場合は、1児につき一律39万円です。なお、産科医療補償制度(注1)に加入している医療機関等で出産したときは、1児につき42万円が支給されます。多生児を出産したときは、胎児数分だけ支給されます。たとえば、双子の場合は×2人、三つ子の場合は×3人になります。また、加入しているのが組合管掌健康保険の場合は、プラスアルファの給付が行われることもありますので、所属している健康保険組合にお問い合わせください。
(注1)産科医療補償制度とは
お産をしたときになんらかの理由で重度脳性まひとなった赤ちゃんとそのご家族の経済的負担が補償される制度で、分娩を取り扱う病院、診療所や助産所(分娩機関)が加入します。
A4:雇用保険に加入している人が、1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した結果、給料が80%未満に減った場合に受給できます。
給付金は、原則として、休業開始時賃金月額(注2)×50%相当額(当分の間)です。
(注2)休業開始時賃金日額=休業開始時賃金日額×支給日数(原則30日)
たとえば育児休業前の1ヵ月あたりの賃金が30万円の場合、育児休業給付金は1ヵ月あたり15万円(30万円×50%)となります。
A5:年金制度における次世代育成支援策として、育児休業中の保険料や標準報酬月額について、次の3つの支援措置があります。いずれも育児休業による給料の低下が、将来の年金や現在の暮らしに影響を与えることがないように配慮したものです。
株式会社JEサポート代表取締役